アクセンチュアのセグメント別企業研究 通信・メディア・ハイテク本部
アクセンチュアに限らずほとんどのコンサルファームは、インダストリー×ソリューション別でチームが分けられています。
分け方の切り口については、ファーム間で異なる場合もありますし、同じファームの中でも国毎で異なる場合もありますが、国内であれば大体どこも似たり寄ったりです。
例えば、北米アクセンチュアには「Travel(観光)」領域でサービスを提供していますが、これはジャパンには記載のないサービスです。
一方、アクセンチュアジャパンは「教育(Education)」向けのサービスを展開していますが、北米アクセンチュアには記載のないサービスだったりします。
転職活動や就職活動でコンサルファームを志望する場合、少なくとも自分がどのような「業界」向けに、どのような「ソリューション」を提供したいのかというのは仮でもいいので決めておくことは、入社後のキャリア構築上とても大事だと思います。
さて、今回はアクセンチュアの中でも「通信・メディア・ハイテク本部」について調べてみました。
アクセンチュア5つのセグメント
そもそも、アクセンチュアのコンサルティング部門は業界別で大きく5つの部隊に分けられています。
アクセンチュアの2019年のAnnual Report(年次有価証券報告書)は、5つのインダストリー別で業績を公表しています。部門毎で予算を作っていると考えられますし、実際アクセンチュアの中途採用も5つの業界毎で募集をしていることが分かります。
1.通信・メディア・ハイテク:Communication, Media & Technology
2.金融サービス:Financial Service
3.公共サービス・医療健康:Health & Public Service
4.製造・流通:Product
5.素材・エネルギー:Resource
※アクセンチュア年次報告書より引用
業績
◎売上高、営業利益共に堅調
2019年のアニュアルレポートで公表されたインダストリー別の売上高と営業利益です。
【アクセンチュア 2019年度売上高】
業界 | 19年度売上 | 18年度売上 | 増減率 |
CMT | 8,757 | 8,230 | 106% |
Financial | 8,494 | 8,566 | 99% |
Health&Public | 7,161 | 6,878 | 104% |
Product | 12,005 | 11,338 | 106% |
Resource | 6,772 | 5,942 | 114% |
Other | 26 | 39 | 67% |
Total | 43,215 | 40,993 | 105% |
※金額は、$Million単位です
通信・メディア・ハイテク本部の2019年度の売上金額は$8,757Millionなので、$1=110円で計算すると、日本円で年間約9,632億円の売上高だと分かります。企業内で№1の売上高ボリュームを稼ぐ、まさにアクセンチュアの柱となる部門と言えそうです。
売上高成長率についても、昨対比+6%と、9600億円稼ぐ巨大企業としては、高い水準で成長していると考えられます。
【アクセンチュア 2019年度営業利益(率)】
業界 | 19年度営業利益(率) | 18年度営業利益(率) | 増減 |
CMT | 1,555 (18%) | 1,380 (17%) | 175 |
Financial | 1,238 (15%) | 1,365 (16%) | -128 |
Health&Public | 739 (10%) | 766 (11%) | -27 |
Product | 1,720 (14%) | 1,664 (15%) | 56 |
Resource | 1,053 (16%) | 724 (12%) | 330 |
Other | – | – | – |
Total | 6,305 (14.6%) | 5,899 (14.4%) | 406 |
※金額は、$Million単位です
営業利益額については、$1,555 Millionと、日本円換算で1,710億円です。営業利益率には18%と、高収益のプロジェクトを多数受注していると考えれます。
営業利益率が昨対比で、1%改善していて、社内のオペレーションの改善も順調に進んでいるのではないでしょうか。
ビジネス領域
CMTは、大手通信事業者、大手電機メーカー、メディア・エンターテインメント事業者向けの戦略立案・実行支援のコンサルティングを実施している部隊です。そして、このチームが更に、Communication&Media(通信&コミュニケーション)、High Tech(ハイテク)、Software&Platform(ソフトウェア&プラットフォーム)の三つの小部隊に分かれていて、それぞれがチームの中で51%、25%、24%の割合で収益を上げているそうです。
CMTは、ワイヤレス事業、ブロードキャスティング事業、ネットワーク、半導体、ソフトウェア等、IT事業者のハードからソフト面までの全体を守備範囲とするビジネスユニットだと考えられます。
位置づけ
◎通信部門は、アクセンチュアの「強み」。
実はアクセンチュアは、Gartnerが発表しているマジッククアドラントの通信事業者向けITサービス市場部門で8年連続「リーダー」の評価を得ています。
主なサービスとしては、オムニチャネル、IoT、アナリティックス、サイバーセキュリティ等を提供していて、今後は5Gといった領域にも展開していくとあります。
アクセンチュアと同じリーダーポジションにいる競合企業には、IBM、InfosysといったITメジャーの名前があり、「通信」部門に応募する際は、何故こうしたIT企業ではなく、アクセンチュアなのかを考えておく必要がありそうです。
◎関連書籍
最新コンサルティング業界大研究【第7版】 (業界大研究シリーズ)
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